ご挨拶Welcome

ご挨拶

このたび、SST普及協会第28回学術集会 in 高知を、四国支部の共催により2025年12月6日(土)にオンラインにて開催させていただく運びとなりました。本学術集会は、SST普及協会30周年記念事業として、昨年11月23日・24日に開催されたプレ大会、そして本年7月5日(土)・6日(日)に開催された本大会の流れを受けての開催となります。このような記念すべき機会に学術集会を開催させていただけることを、大変光栄に思うとともに、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。

今回の学術集会のテーマは「志を同じく、SSTの道」といたしました。SST(社会生活スキルトレーニング)は、精神科医療領域において生活行動の改善を目指して導入された後、医療以外の領域にも広がり、地域で暮らす当事者のリカバリーを様々な形で支援してきました。今年の夏、SSTの新たな展開を感じた方々の思いや、日々の実践を振り返り、共有し合える機会となることを願って、このテーマを掲げました。

プログラム内容は、大会長講演、副会長講演、スポンサードセミナー、一般演題発表、自主企画セミナー、シンポジウムを予定しております。しばらく演題発表の機会が少なかった現状を踏まえ、今回は多くの皆さまからのご発表をお待ちしております。詳細は、公式ホームページにてお知らせいたします。 特にシンポジウムでは、「co-SST四国の現状と今後について」をテーマに実施いたします。co-SSTとは、当事者の価値観や個性を大切にしながら、共に決めていく「共同意思決定」の考え方に基づくアプローチです。一人ひとりの違いを尊重し、その人らしく学ぶことを目指します。このアプローチは近年、オーストラリアなど海外でも注目されており、「神経多様性(Neurodiversity)」を前向きに捉える支援として、サイコロジストや言語聴覚士など多くの専門職に広がっています。また、「普通」に合わせるために自分を隠す“マスキング”の問題や、画一的な行動療法への批判から生まれた実践としても関心が高まっています。こうした国際的な動向を踏まえ、本シンポジウムでは、オンラインならではの特性を活かし、海外から招聘した講師による講演を行った後、四国におけるco-SSTの実践者3名により、現場からのリアルな報告をお届けいたします。このシンポジウムが、参加者の皆さまにとって、多様な実践スタイルや理念への理解を深め、SSTの再評価と今後の発展可能性を探る契機となること、また、co-SSTの普及と展開に向けたヒントを得られる場となることを期待しております。

四国では近年、やなせたかし先生や牧野富太郎先生の活躍が地域を盛り上げてくれています。今回はオンラインでの開催となりますが、四国の風を少しでも身近に感じていただければ幸いです。

多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

SST普及協会第28回学術集会in高知
    大会長 數井 裕光
(高知大学医学部神経精神科学教室教授)